頭蓋骨に肉をつけていく作業

「存在を証明してくれ〜って歌詞の歌があるんだけど、存在って証明できるのかな」
「何の存在? 存在の存在? モノの存在? 自分の存在?」
「まずはモノの存在」
「そこにあるというだけじゃ証明にならない?」
「あるってことは存在しているってことだもんね。証明になるかな。…でもさ、あるって何だろう」
「目に見えること、触れられることとか」
「じゃあ目に見えない、触れられないものは存在してないことになるよ。電波は見えないし触れられないけど、あるよ」
「なら、“他のものに影響を与える”ことはどうだろう」
「いいかもしれない」
「いや、自分で言っておいてなんだけど、それは他のものが存在していると定義して成り立つものだ。他のものの存在が確定しないと、それの存在も証明できないんじゃないだろうか。しかも他のものも今取り上げた何かも、同じ立ち位置のものだから……」
「でも、何かしら影響を与えた時点で証明になると考えて良いんじゃないかなあ。だって、うまく言えないけど、影響があったわけだし。例えその影響を与えられたものも存在が確定していないものだとしても「影響があった」という事実を含む空間があるわけだから」
「空間があるということが証明?」
「そんな感じだと思う」
「空間の存在はどうなる」
「これは土台を蹴っ飛ばさない限り、存在すると言っていいものだと思う」
「何故」
「空間があって、そこにモノがあるから」
「…………いいんだろうか、それで」
「いいと思うんだけど、それで」
「なんだかアバウトすぎやしないか」