地下鉄の駅にいる。
プラットホームを歩いていると、独り言を言い続ける女がいた。
はっきりと聞き取れるほどの声量で、本か何か、暗記しているものをただただ唱えている。
気持ち悪いと感じエスカレータを早足で降りて女から離れようとするが、その女も同じ方向へと着いてきた。
電車に乗ると外は明るく、昼のようだ。良い天気でのどやかだった。
女の姿もなくホッとしているとドアが閉まるというアナウンスが流れた。
そしてドアが閉まる直前、先ほどの女が独り言を言いながら入ってきて少し離れた座席に座った。しかし電車が動き出すと、まるで子供がするように座席に膝をついて窓の外を眺め始めた。その間もずっと独り言を言っている。その内、女は私の目の前の座席に座った。
その女の異常性を感じ取り横に座っていたスーツ姿の中年の男が席を立ったので、私も流れに乗ってその場を少し離れた。