丁寧な他人

電車の座席に座ってウトウトしていたら、右隣に女性が座った。
しばらくしてから左隣の人が席を立ち、電車を降りていった。
ふと前を見ると、右隣の女性の連れ添いが立っている。
女性の連れ添いが座れるようにと空いた右側へずれたら「すみません」と女性がこちらを見ながら会釈した。
降りる駅に到着し、その女性の前を通るともう一度会釈された。
こんな些細なことに対して丁寧に会釈できるこの女性は、すごく良い人なんだろうなと思った。
一応2回とも会釈で応えはしたけれど、その女性の目を見て会釈し返せなかったことが悔やまれる。

家に帰ると、晩ご飯がなかった。
「おにぎりとおむすびと味噌汁が食べたい」とごねていたら、父親に誘われてコンビニへ。
カツサンドと諸々をお会計する際、カツサンドを温めるかと店員に尋ねられた。カツサンドも温めてもらえるのね。
カツサンド温めてもらい、品物受け取り家に帰った。
手を洗って、着替えて、化粧落として、いざカツサンドを食らおうとすると、ない。カツサンドがない。袋のなかにない。
仕方ないのでもう一回着替えて、コンビニへ。
店員さんと目が合うと「こちらですよね」と恐縮しながらカツサンドを渡してくれた。
その際、アイスクリームを一緒に作ってくれた。「いいです、大丈夫です」と言う私の顔は卑しい顔つきだったんじゃないだろうか。
店員さん、いや、本当ありがとうございました。