コトコトコットン

今日の晩ご飯はトンカツだった。
母が自分の分を何も言わずに一切れくれた。それを食べてみるとあら不思議。甘い。そして、美味しい。何が入っているのか聞いてみると、その答えにあらビックリ。なんと「あんこ」でした。そういう食べ方もあるようで、浅草でもそういうトンカツを出すお店があるそうだ。
このトンカツで思い出したことがある。あれは大学2年の初夏。お昼に母の握ってくれたおにぎりを食べた。友人らと談笑しながら、一口。なにか味がおかしい。白米、海苔、そしてあるはずの具、それ以外の異質な味が紛れ込んでいる。最初は気のせいだろうと気にしなかったが、一口含めば含むほど、噛めば噛むほどに違和感が強くなる。この酸味は何だとおにぎりをジッと見ると、中心部に黄色いトロッとしたものが。初夏とはいえ、この暑さ。まさかこれは……と危機感を覚え空腹をこらえて、食べるのをやめた。
家に帰り母に「おにぎりが傷んでた、中が黄色くなってた」と言うと、母は一言こう言ったのだった。「あ、それ、チーズ。お米とチーズ、美味しいかなって」。母としては、ドリアみたいにチーズとお米は相性が良いから大丈夫と判断したようだった。でも、冷たいおにぎりは、余熱で中途半端に溶けたチーズとあまり相性は良くなかった。
普段の母の料理は美味しい。