むかちかこわい

「神の存在も怪しい」
「も?」
「神も私たちと同等の存在だと思ってたけど、それさえも怪しい」
「いないと?」
「見えないし」
「見えなくても宗教は神の存在を肯定してるよ」
「そうだけど、なんか。目に見えるものが全てと言っていいんじゃないかなって」
「おお、星の王子さまにケンカを売るのか」
「王子さま、結構酷いヤツだし。地球の薔薇たちへの暴言は許せない」
「例えば空気とかさ、電波って存在してるけど見えないじゃん。そういうものの存在も否定しちゃうの?」
「いや、目に見えるというか、感覚が拾えるものと言った方が良いかも」
「電波は感覚じゃ拾えないでしょ」
「電波を拾うものがあるし」
「存在を感じるものがあれば肯定できるってことかな」
「そうかも」
「じゃあさ、可能性はどうなんだろう。感覚として拾えるものでもないけど、普段生活してる中で結構接することあるよね。天気予報とかさ」
「うーん」
「宝くじが当たる可能性とかさ、お前がちゃんとした人間になれる可能性とかさ」
「早く人間になりたーい」
「可能性って、ここに何かしらのものがあるかぎり存在するように思えるのだけど」
「可能性を生み出すのが私たちってことか」
「目の前のものから芋づる式に……というと違うかもしれないけど、繋がるものを考えてみるといいんじゃないかと思うよ」
「例えば、軸なんか繋がるものあるかな」
「強いて言うなら、自我とかかな。とりあえず、目の前のもの(私達)に近いものと遠いものがあるってことを認識することは大事なのかもしれない」
「なんで一緒くたにしちゃいけないの?」
「見えないから存在しないって暴論を防ぐため」
「でも、根本的な解決にはなってない」
「存在しないという決めつけはなくなったから、まずはこれでいい」