ライオンとの話

ライオンはそこにいる。私から離れず、物音立てず、声一つ上げずに、ただただ寄り添う。しかし私は目隠しをしているため、その姿を見ることは少ない。確かにそれの存在は感じるのだけれど。その感覚は何とも言えず重く苦しいもので、振り払おうにも振り払えない。手足をジタバタと動かしてみてもライオンが退く気配はなく、かといって噛みつくこともなく、やはり黙したまま寄り添い続けるだけ。
ライオンは私に寄り添っているのではないのかもしれない。いや、そんなこととっくに。