黄色い白線の内側でお待ちください

ホームの一番はじっこで電車を待っていたら、反対方向の電車から小さい男の子とその母親が降りてきた。降りた後、男の子は走り始めた電車の車掌さんに小さく「ばいばい、ばいばい」と言いながら手を振る。車掌さんも少し照れくさそうに小さく何度も手を振って、電車は駅を発車していった。何とも微笑ましい光景。
母親が男の子に良かったねとほほえみかけると、男の子は少し間を置き、冷静に言った。
「(車掌さん)こどもには優しいんだね」
彼は以前何か見たのだろうか。
…もし、私が手を振ったら手を振り替えしてくれるものなのだろうか。見て見ぬふりをするのだろうか。それを実行する勇気は持ち合わせていないから、わからないままだろう。